青谷梅の里巡り、二軒目は「市久八木」さん。創業明治二十三年の老舗漬物店である。京都の漬物!というだけで心躍る上に、こちらの梅はネット上でたいへん評価が高かった。これまで漬物専門店で梅干しを買ったことはない。いやが上にも高まる期待。
のれんをくぐり店内に入ると、色とりどりの美しい漬物が一斉に視界に入り、瞬時に目を奪われる。どれも美味しそう…!私は京都を通る度にしば漬けとちりめん山椒を買わずにはいられない質だが、ごぼう漬けやすぐき漬けも大好物だ。しかし今回の目的はあくまで梅。以後の旅程を鑑みればここで徒に荷物を増やす訳には行かない。随分と悩んだ末に2点に絞った。
「京のしょっぱい梅」こと天然しそ梅(300g入り910円)、着色されていないタイプのしば漬け「天恵しば(150g入り356円)」。見慣れた赤紫蘇色のしば漬けは「舞子漬」の名称で売られていた。天恵しばは酸味を含むと書かれていたので、おそらく乳酸発酵させているのだろう。食べるのが楽しみ。
それにしても、2点に絞ったとはいえ、梅干しは最小サイズを買ったとは言え、瓶詰。プラスチックの容器は重くはないが、それなりの重量である。これは今後買うものをより精査しなければ・・・(と、この時点では思っていた)。
さて、遠征から帰って味見。向こう側にある種は「青谷梅工房」さんの城州白。「京のしょっぱい梅」は青谷梅林の梅のみを使用しているそうなので(品種は明記されていない)、比較のため置いてみた。
裏書にも「梅漬け」とあるが、たっぷりの梅酢にひたひたに浸された梅は思いの外ふっくらとし、容器から漂う香りが最近食べている梅干しとは明確に違う。材料名には「梅、しそ、塩、しそ梅酢」しか書かれていないが、昆布のような旨味成分を持つ香りが含まれている感じ。
そして口にして一秒足らずで私も夫も驚いた。
「しょっっっっぱ!!!」
異口同音に発する我々。だが単に塩辛いのではない。梅の酸味と豊かな紫蘇の香りに加え、やはり昆布のような、口内の端々にまで広がる奥深い味わいを感じる。繰り返し漬けられた梅酢に生まれた成分なのか、この漬け汁自体が一般的な梅酢の味とは大きく異なっている。さすが老舗漬物店、梅屋さんの梅干しとはひと味どころでなく違うよ・・・。
いやーこれは驚きました。これまで買って来た梅干し&梅漬けと明らかに一線を画した個性的な味わい、好きな人は確実に癖になりリピートしたくなるのでは。
ちなみに味の特徴が強過ぎてこれが城州白か確かめる余裕はなかったが、皮の厚さや実の感じから言っておそらく違うと思われる。白加賀なのかな?
ううむ。やはり漬物専門店の梅はひと味もふた味も違っていた。試してみるものだ。また漬物専門店で梅漬けを見つけたら買ってみることにしよう。
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